目覚め

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「口を開けてください。はい、あーん」 「・・・・・・」 なんだこれは。 こんなもの、部下に見られたら見限られること間違いなしだぞ。 「じ、自分で食べる」 「だめです。はい、あーん」 「・・・・・・」 結局明かりをつけてはくれなかったし、なんだこの羞恥心に訴える拷問は。 食べた。 食事の描写は省略させてもらう。結論だけで十分だろう。 「さて、食事が済みましたので・・・・・・おじさん、これが何に見えますか?」 彼女は何を言っている? 「こんな暗いのに、ものが見えるわけないだろう。大人を馬鹿にするのはやめなさい」 「・・・・・・そう、ですか」 なんだろう。彼女の声、なんか泣きそうじゃないか? ・・・・・・嫌な予感がする。 いや、本当は最初から気付いていた。気付いたうえで見ないようにしていた。 「正直に答えてくれ。私の目は・・・・・・」 「・・・わ、私は医者ではないので、詳しいことはよくわかりませんが」 彼女がつばを飲み込む音が聞こた。 「おじさんの目は、多分なにも見えていません」
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