1冊目 古泉は暇なようです

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「あ、先輩発見!」 あっという間に昼休み……などと言う現実は無く、一時間目が終了した所で守野がやって来た。 後輩で更に女子に呼ばれるとなると周りの目線が強い。 「…なんか用でも…?」 「分かりきってる癖にー」 「いや……全然分かんないけど…」 「例のこれですよ。コ・レ」 そう言って守野が取り出した物は見覚えのあるノート。 そう。あの、リレー小説のノートである。 「………え?僕にどうしろと?」 「続き、書いてください」 「……リレー小説…だよね?」 「はい。リレー小説です」 全然リレーしてないじゃないか。とツッコミたくなる古泉君。 だが、もしかしたらさっきまでの一時間目の間にゴキブリストーリーの展開が進んでいるかも知れない。 そう思い踏み留まった。 「……拝見するよ」 「どーぞっ!!」 「……(テンション高いなぁ…)」 ~~~~~~~~~~~~~~ 物語と言うものは行動せねば何も始まらない。 偉人…いや、偉虫のゴキンシュタインの名言を心に刻み、オレっちは行動を開始する。 アインシュタイン?誰だそれ? 「きゃあぁぁぁぁっ!!!」 はっ…この悲鳴は…!! 我が麗しの絶賛片想い中の彼女の悲鳴じゃないか! 誰だッ!誰が彼女を脅して…! 「ヤバッ…見つかっちゃったか…」 ゴキ美が脅していた。 ~~~~~~~~~~~~~~ 「……なんか…ハラハラする展開になってる…」 「いやーここまで出すのに苦労しましたよー」 「えっ?」 「ん?どうしました?」 「…もう一度聞くよ?…リレー小説…だよね?」 「しつこい人は嫌われますよ先輩っ」 彼女は“ここまで出すのに苦労した”と言った。 それはつまりこのパート。ゴキ美の襲来(今命名)シーンを書いたのは守野と言うことになる。 だが、彼女の言うようにこれはリレー小説。 古泉的には結構好きな展開だが、このまま古泉が続きを書いてしまえば……。
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