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「あ、先輩発見!」
あっという間に昼休み……などと言う現実は無く、一時間目が終了した所で守野がやって来た。
後輩で更に女子に呼ばれるとなると周りの目線が強い。
「…なんか用でも…?」
「分かりきってる癖にー」
「いや……全然分かんないけど…」
「例のこれですよ。コ・レ」
そう言って守野が取り出した物は見覚えのあるノート。
そう。あの、リレー小説のノートである。
「………え?僕にどうしろと?」
「続き、書いてください」
「……リレー小説…だよね?」
「はい。リレー小説です」
全然リレーしてないじゃないか。とツッコミたくなる古泉君。
だが、もしかしたらさっきまでの一時間目の間にゴキブリストーリーの展開が進んでいるかも知れない。
そう思い踏み留まった。
「……拝見するよ」
「どーぞっ!!」
「……(テンション高いなぁ…)」
~~~~~~~~~~~~~~
物語と言うものは行動せねば何も始まらない。
偉人…いや、偉虫のゴキンシュタインの名言を心に刻み、オレっちは行動を開始する。
アインシュタイン?誰だそれ?
「きゃあぁぁぁぁっ!!!」
はっ…この悲鳴は…!!
我が麗しの絶賛片想い中の彼女の悲鳴じゃないか!
誰だッ!誰が彼女を脅して…!
「ヤバッ…見つかっちゃったか…」
ゴキ美が脅していた。
~~~~~~~~~~~~~~
「……なんか…ハラハラする展開になってる…」
「いやーここまで出すのに苦労しましたよー」
「えっ?」
「ん?どうしました?」
「…もう一度聞くよ?…リレー小説…だよね?」
「しつこい人は嫌われますよ先輩っ」
彼女は“ここまで出すのに苦労した”と言った。
それはつまりこのパート。ゴキ美の襲来(今命名)シーンを書いたのは守野と言うことになる。
だが、彼女の言うようにこれはリレー小説。
古泉的には結構好きな展開だが、このまま古泉が続きを書いてしまえば……。
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