1冊目 古泉は暇なようです

2/12
前へ
/12ページ
次へ
カタカタカタ… 時は放課後。 とある学校のパソコン室でキーボードを弾く音のみが静かに響き渡っていた。 今、この教室に居る生徒はただ一人。 我らがメガネ主人公、古泉君。 このパソコン部……通称PC部の部員は彼、ただ一人。 この学校はどう言うわけか、スポーツに熱の入った生徒が殆どだった。 そのため男子生徒は軟式野球部やサッカー部、バスケ部に入部し、女子はソフトボール部やバレーボール部に所属していて、文化系の部は基本クラスで1~2人しか居ない。 「目……疲れてきた」 やることを終えた彼はパソコンの電源を落とし、勉強道具などが入った鞄を持ってパソコン室を出た。 「あ、ちょっと良いですか?」 パソコン室を出て約二分。学校に居てもやることが無いので帰ろうとした古泉は、下駄箱まで来ていた。 自分の靴箱まで向かい、靴を取ろうと蓋に手を伸ばそうと……する直前に一人の女の子に話し掛けられた。 「……何?」 古泉は相手を一目見て、初対面なのかどうか疑わしくなるぐらい面倒臭そうな顔をして返す。 「二年生の古泉先輩、ですよね。PC部の」 「……まぁ」 「よ、良かった。あたし、文芸部所属の守野(モリノ)と言います。一年です」 彼女は守野と名乗り、軽く頭を下げた。 女の子の、ましてや一年生で全く違う部活と言う、なんの接点も無いような子が自分になんの用だろうか?
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加