4人が本棚に入れています
本棚に追加
「実は、これを書いて欲しいんです!!」
何を言われるか予想していた古泉に、守野は一冊のノートを差し出してきた。
表紙にはマジックペンでいかにも手書きな書き方で『極秘マンガ!!』と書かれてある。
それを恐る恐る受け取り、表紙を開けてみた。
一ページ目には美形でガタイの良い男と、ひ弱そうな男が描かれており、下辺には……タイトルだろうか。
『尾賀と内海のBL物語』
…………。
自分にこれを描けと?
「い、良いと思いませんか!?」
「えっ……」
……他人に自分の考えたBLマンガを描かせるのが良いことだと?
古泉はもうなんと言えば良いか分からなかった。
確かにマンガは好きだ。だが、口数がやけに少ないところ以外はいたって普通の中学生。
基本の好みはジャンプ漫画である。
「あぁ……!こう言うコラボって大事だとあたしは思うわけですよ……!!」
守野は目を輝かせながら『私、乙女☆』と言わんばかりのオーラを出しながら語る。
コラボ……コラボとは……男と男のコラボレーションと言う事だろうか。
そもそも、自分は絵を描くことが苦手だ。
描こうとした物が全然違うものになってしまう程に。
以前、美術の授業で自分の似顔絵を描いていたら、隣の席の郷君にこう言われた。
『おぉ、絵ぇ描くの上手いな古泉!!は○れメタルだろそれ!?』←郷君
『…………』←古泉君
人を描いたつもりだったのだが、郷君の目には白銀状の液体に見えたらしい。
ちなみに、上手いと言われたので満足して特に訂正はしなかった。
そう、無意識では○れメタルを描いたんだきっと。
とにかく、似顔絵を描いたらはぐれメ○ルと言われた自分になんてハードルの高い(色んな意味で)物を描かせるつもりなんだこの娘は。
古泉は無表情ながらもそう思っていた。
最初のコメントを投稿しよう!