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「…え!?………」
「だから…蒼麒くんは、こう言ってるけど、和輝はどうなの?…どうしたい?」
突然振られた質問に、即、答えを返せずに…和輝はうつ向く。
「…………俺……」
頭を下げたままの蒼麒の脇を通りすぎ、黙りこんでしまった息子の側に行くと、香津子は優しくその肩を抱いた。
「怒ってるんじゃないのよ。和輝の素直な気持ちを聞かせて欲しいだけなの」
「……………」
「蒼麒くんは、これから先は茨の道だって言ったわ。それを一緒に歩く覚悟は出来ているの?……それとも和輝は…蒼麒くんとは別々な道を行くつもりなの?」
「……………」
「もし…別の道を歩くなら。すぐにここを片付けて、即刻帰らなくてはいけないわ。そして…もう二度と…彼に逢うことは許されない」
「……………」
「ねぇ…和輝。…聞かせて?」
優しく頭を撫でられ、顔をあげた和輝の瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちた。
「ごめんね…父さん。母さん…。…俺………蒼麒と一緒に歩きたい…」
泣きながら、ようやく言葉を紡いでくれた息子を…母は力強く抱きしめた。
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