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今まで育ててくれた両親に、ひどい親不孝をしてしまうということ。
選んだ相手が蒼麒であるということ。
楽しみにしていたであろう、孫の顔を見せてあげられないということ…。
その他、いろいろ思うことは多々あるけれど。
それでも…。
香津子の『二度と彼に逢うことは許されない』という言葉を聞いた瞬間、和輝のなかで何かが確実に変化して…。
ようやく素直な言葉を口から出すことが出来て、和輝は心のどこかでホッとしていたが……まだ結論は出た訳ではないのだ。
「香津子…お前…」
「あなた…。アタシはね、和輝が幸せならそれでいいの。和輝を幸せにしてくれるなら、それでいいわ。この子が…和輝が選んで、和輝が決めたのだから。だからね…世界中の全ての人間がそれを否定したとしても。アタシは和輝と蒼麒くんを守るわ」
「母さん…」
母の力強い言葉に、和輝はその顔をじっと見つめた。
下げていた頭をゆっくりと上げ、蒼麒も香津子の方を向く。
まだ、困惑したままの自分の亭主と、こちらを向いた蒼麒に、にっこりと微笑みかけた香津子は……黙ったまま言葉を発しない奥山夫妻に向き直った。
「子供達は、こう言っておりますが…。そちらの見解をお聞かせ願えますか?」
香津子の視線を受け、聡子がソファからスッと立ち上がった。
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