2 美味しいお肉が食べたいの

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和輝は、蒼麒の家に向かう途中にあるドラックストアに立ち寄ると、手当たり次第に看病の為のグッズをカゴに放り込み始めた。 熱冷ましのシートやスポーツドリンク。レトルトのお粥とノンシュガーののど飴…。 広い店内をカツカツと歩き回りながら、商品を物色していく。 「んもう!!……いっつもギリギリまで我慢するんだからっ!!……だから……だから心配なのに…」 怒っているのか、心配してるのか…和輝は自分でも良く分からない独り言を呟いてしまっている。 もう、なんだかんだと6年もの間、お付き合いを続けているけれど…。 始めの頃は、全く分からなかった『蒼麒』という人間が次第に理解出来てくると、ますますそれに魅せられてしまった自分に気づいて…和輝は何とも言い難い気分に陥る。 けれど、それは『嫌なもの』ではなくて…どこか、ふんわりと温かい。 だからこそ、同時に素直になれない自分にも気づいてしまうから…。 結果的に、和輝は蒼麒が『大っ嫌い!!』なのだ。 必要以上に矛盾しているから…和輝は、紅音や紫峰に、いつも笑い話のネタにされていようとは知る由もない。 蒼麒のことが『大っ嫌い!!』な和輝。 和輝のことが『大好っきぃ!!』な蒼麒。 本当にお似合いな2人なのである。 会計を済ませ、袋に大量に入れた荷物を抱え直すと…和輝は目的地に向かって歩いていった。 、
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