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大学から程近い、閑静な高級住宅街の中にある、立派な洋風の門構え。
先祖代々続く、由緒ある奥山さんちの入り口で、和輝は大きく溜め息をついた。
「いつ見てもデカイ家……」
普通の核家族的一般家庭に育った和輝にとっては、いつ来ても敷居が高く感じられてしまう。
こんなの掃除が大変なだけじゃん!!…とか思ってしまうのも、一般市民ならではの感覚であろう。
蒼麒は、たいてい自室ではなく、お気に入りの大きなテレビのあるリビングでゴロゴロしているのを知っている和輝は…。
いつものように玄関を開け、いつものように勝手に上がり込み…テレビの音だろうか…人の声のするいつものリビングのドアを勢いよく開けた。
「蒼麒っ!!具合が悪いんなら、ベッドで寝てなきゃダメじゃないのっ…て…………え?…」
「「和輝っ!!」」
「………何で……父さん?…母さん!?」
開け放たれたドアの向こう側で、ソファに座っている…見覚えのありすぎる2人。
間違いなく、自分の両親である……が、何故両親がここにいるのか理解不能のまま固まる和輝。
「和輝っ♪待ってたよーっ!!早かったねぇ♪」
その呼び掛けに、おそるおそる視線を転じた瞬間、思いきり強く抱きしめられて…。
買い求めてきた荷物の袋が手から滑り落ちて、バラバラと絨毯の上に散らばった。
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