全力場転。

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「あれー?渓上先輩と……伝説の九十九神もいる、だと!?」 「んー誰か呼んだん───……うわ」 突然名前を呼ばれて振り返ると、神野先輩とユーちゃん伝いで知り合いになったカズがいた。 そうだ、魔神の異名を持つ風紀委員長ならユーちゃん探しの力になるかもしれない。 しかし、何だこの組み合わせ。 この二人接点あったのか? ………それともう一つ謎が。 「よぉ九十九、こんなに日光浴びてまだ野垂れ死んでないなんて喜ばしいじゃねえか」 「お前こそ教師様のために働き蜂みたくせっせと働いてまだ過労死してないなんて、感涙の極みなんよ」 「俺は学校のために働いてるんじゃないんだがな?まぁ何にしろ引きこもりよりかは人としてマシだ」 九十九先輩と神野先輩仲悪すぎだろ。 三年生内の相関図なんてハナから知らないから謎なのは当たり前なんだが。 神野先輩はゴミを見るような目で嘲笑してるし、九十九先輩も嫌悪感丸出しだ。 先輩二人のテンポに着いていけず委員長と一緒に傍観していれば、いつの間にか隣にカズが立っていた。 「いやー久しぶりっすわ渓上先輩」 「よう、てか何でお前神野先輩と?」 「今夜のオカズを盗撮してただけなのに連行されたんすよ。ちょっと訳わかんないっすわ」 「そこは分かれ、人としてアウトだ」 殴りたい、この真顔。 横で委員長がドン引いていたのも無理ない。 ───いや、しかし今はそんなことよりもだ。 「神野先輩、少し手伝ってください。ユーちゃんが行方不明になったんです」 「テメェ1回生徒指───……行方不明?」 「そうだったんよ、まずはそっち優先」 経緯を全て話し終える頃には、神野先輩も九十九先輩も完全に臨戦態勢を解除してくれた。 ただ表情は曇ったままだ。 「そんなことがあったのか……」 「テンプレキタアアアアアアアアア!!」 カズが少しうるさかったので黙らせておく。 しばらく無言の状態が続き、そこでふと思い出したように神野先輩が顔を上げた。 「お前ら、悠斗に電話とか試したか?」 「あ………」 先輩は呆れたように溜め息をつくと、携帯を取り出して電話を掛けた。 スピーカーにしてくれたおかげでコール数までちゃんと分かる。 二回目、三回目──────九回目。 「出ないか………ん?」 その瞬間通話モードに切り替わった。 『やふー魔神さん?悠斗ですけど只今絶賛拉致られ中なんで助けに来てね!ヤックルに乗っ───ツー、ツー……』
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