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ぐいぐい押し退けて、隣に勢いよく腰を下ろす。
このボフッと感がたまらん。
とか思ったのもつかの間、結局サトちゃんにヒョイと抱きかかえられてしまった。
「待て待て、離さんか」
「ここに座れって言っただろ?」
「……答え1択ですか、おらには分がんながったべ」
まったく……もう何なんだよサトちゃん、コクったからってここまでオープンにならないだろ普通。
頑張るってこういうことなのかい?
「あー………落ち着く。ユーちゃんもうずっとこのままでいいぞ。抱き心地最高」
「俺の意見は無視?離せと言っておろう」
「却下だ」
即答とか本当にありがとうございます。
………まぁ今日くらいは許してやるか、色々あったせいで本当に疲れてるみたいだし。
すでにグッタリ感が半端ない。
仕方ないな、大人しくしとこう。
そうして二人で駄弁ること数時間。
「…………意外だ」
「ん?どしたユーちゃん」
「ちょ、あんま耳元でしゃべんな。イケボに洗脳されるわ」
………そんなことより。
意外だったのはサトちゃんが耳も尻尾も触ってこなかったことだ。
あの性格上、真っ先にからかってくると思ったのに。
抱く角度変えたり腰に腕回してきたりするあたりは、見事に変態度が増してきているが、尻尾とかにはまだ1度も触れていない。
嬉しい誤算だ。
「いや………この耳とか尻尾、触らないんだなって思って」
「触ってほしいのか?」
「滅相もない」
「…………それ触ったらシャレになんねぇからな」
「ほい?」
シャレにならないってどゆこと?
「いや、こっちの事情だ。気にすんな」
哀愁漂わせながら頭をモフッてくるサトちゃん。
意味よー分からんけど、イケメン最高だから気にしない。
写真撮りたい、そして親衛隊の子たちに配らせてください。
「ユーちゃんは、明日もこのままだったら気を付けろよ。変態とかに捕まったら大変だからな」
やっぱ君はオカンだよ、恋愛感情と母性本能を履き違えているんだよ、きっと。
「でーじょーぶ、明日学校休むつもりだし。それにサトちゃん以外のやつにあんな醜態見せる気ねぇよ」
もうサトちゃんには見られたから仕方ない。
それにもう1年以上一緒に住んでるんだ、今さら隠すこともない。
「…………マジ阿呆かお前は」
「何で阿呆呼ばわりするんすかサトちゃーん」
いきなり腕の力を強め、背中に顔を埋めてくる。
なに、何か俺まずった?
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