全力災厄。

12/28
前へ
/221ページ
次へ
翌朝、突然悪寒を感じて目が覚めた。 ちょうど金縛りでビクッとなったみたいなね。 「っ………?」 ………嫌ーな予感がする。 数回まばたいてから、そっと周りの様子を窺った。 部屋は少し明るくなっていた。 目の前ではサトちゃんが規則正しく呼吸を刻んでいる。 イケメンの無防備な寝顔に萌えたが、今はそんな場合ではなく。 こいつ、尻尾掴んでね? 「………ひぅっ!」 やっぱりかっ! 昨日触らない言ったのどこのどいつだよ! 「やっ………サトちゃ、離せ!」 「……ん…………」 バカな、寝ている……だと? 試しに何度か呼び掛けてみるが、起きている気配はない。 寝ながら尻尾掴むとか、そんな某リア充主人公のエロハプニング発生スキルどこで覚えてきた。 「っふあ……マジ、目ぇ覚まっ、んっ………!」 「……う………ん」 もうやだこのイケメン! 「サトちゃ、は……んあっ」 もう片方の手で腰引き寄せられてて、離れられないし! 「くっ……や、消しゴム突っ込むぞ!いいか、突っ込むからな!」 消しゴムを取り出して脅すように捲し立ててみた。 返答はない。 「よぅし分かった!さんっ、にぃっ、いっぐふあっ!?」 瞬間、痛みが走る。 俺の鳩尾にっサトちゃんの膝が…………! 不意討ちの蹴りを食らい、ベッドから転げ落ちた。 「げほっ!ぐっ……ふおぉ……」 「………んー、ユ……ちゃん?」 ようやく起きたのか、サトちゃんは目を擦りながらこっちを見てくる。 「なんで落ちてんの?」 「………なんで寝ながらあんなこと出来んの?」 俺は質問返しを繰り出した。 サトちゃんは意味が分からなかったようでハテナを浮かべている。 「俺………なんかした?」 本気で寝てたとか。 「……もういい、記憶から抹殺しとく」 さっきのは夢だ、あんな恥ずかしいことサトちゃんはしない、そういうことにしとこう。 俺以外は誰も知らないんだから問題皆無皆無だ。 「よし、俺自分の部屋戻るわ」 「ちょ、待てどゆことだ?」 サトちゃんの制止をスルーして部屋から出た。
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8290人が本棚に入れています
本棚に追加