全力災厄。

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「さぁ、よく見ろ諸君!これがあのもっさいオタクルックの素顔だ!!」 こういう時ちょっと厨二効かすと更に注目して聞いてくれるものです。 「どうしたの悠斗君………て、これが園宮君?」 教室の中ではすでに、猫耳Gの周りに人だかりができていた。 そして皆が園宮の変貌ぶりに絶句している。 「…………こっ、こいつは別人に決まってる!身長だって違うし!」 「なんだよ!俺は俺だぞ!!」 クラスメイトの一人が信じられないように叫んだ。 最も正常な反応だよそれが。 「でもまぁ、本当なんだな。生徒証もあるし………身長があれなのは俺と同じ薬飲んだせいだ、ほら俺も身長縮んでるだろ?」 「じ、じゃあこの耳は!?」 「まぁ薬の効果の一部だと思っといてくれ」 うっ、と言葉を詰まらせたクラスメイト1。 …………よくこの説明を受け入れたな、このファンタジーな薬に疑いを感じないのかい? 「その前にそんなものが存在することにビックリなんだけど」 「委員長、まともなリアクションをありがとう」 やっぱり王道学園は異常なんですねー。 「とにかく、そいつは園宮で素顔を隠してたんだ」 そう締め括れば、再度視線はGに移る。 頬染めてるやつも何人か居た。 さすが王道、見た目はかなりいいからな。 爽やか吉野と不良(笑)に関しては限界近そうですわ。 よし、あとは俺が空気になってる間に抜け出して、サトちゃんと一緒にサボるだけだ。 とか考えてたら、ふいに委員長が話し掛けてきた。 「…………ねぇ、悠斗君も薬飲んでるんだよね?」 どうしたんだいきなり。 「ああ、そうだけど?」 「じゃあその帽子外したらどうなるの?」 空気がタヒんだ。 「え、別になんともにゃい………かみまみた」 …………………。 どうしようどうしようどうしようどうすればごまかせる!? 「悠斗も俺と一緒なのか!?」 「のああああああ何すんだボケェエエ!!」 「ぐわぷっ!」 いつの間に復活したのか、Gが俺の帽子を奪い取りやがった。 反射で近くの机にあった辞書を顔面にぶつける。 「あ、俺の辞書………」 その机に座っているクラスメイトが切なげに呟いたので手刀をきった。 だって今回は消しゴムじゃ気が済まなかったんですもん!
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