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「そこが怖いから待たん」
「どうゆうこと!?待って、止まれよ!」
だから待たない言ってるだろ。
俺はGを無視して全力で走った。
止まればまもなく消しゴムを段ボール箱ごとプレゼントとかなら止まってやらんこともないが、そんなんがあるわけでもなさそうだし、止まらない。
後ろをチラッと見れば、Gも全力で追いかけてきてた。
猫耳で鬼ごっことか。
「んー、どうしたもんかね………………を?」
しばらく走ると、進行方向のはるか先に見覚えのあるイケメンが歩いていた。
あれ誰だっけ。
「…………そうだ、生徒会長」
思い出した、生徒会長だ。
これは使えるんじゃないか?
生徒会長もGの取り巻きの一人だ、こんなGを見たら引き止めるに決まっている。
変装解除に猫耳ショタ化までしてんだから。
……でもこのスピードのまま近付いたら気づく前に絶対通りすぎるな。
止まったら止まったで、Gは飛びついてきそうだし。
それなら。
俺は走るのをやめて、Gの方に向き直った。
「ごめんなジ………園宮。ほら、俺の胸に飛び込んでこい」
笑顔で両手を広げてみる。
Gは驚いて1度足を止めたが、すぐにまた走り始めた。
「ゆ、悠斗!やっと分かってくれたんだな!!」
何のこと言ってんのかサッパリなんだが。
「……まぁいいや、ほらおいで」
Gとの距離がどんどん縮まっていくー、今すぐ面舵一杯Uターンしたいー。
「悠斗おおおおおおおおお!」
「そして上げて落とすっ!」
「ぐへぶっ!!」
抱きつかせるわけないだろ。
向こうが腕を広げた瞬間に避けてラリアットをかませば、見事地に伏したG。
「ふっ、逃げてダメなら迎えうつまでだ」
完 璧、あとはー………
「すんませーん、そこにいるの生徒会長さんですよねー?」
「……おいお前、授業中になんでここにいる?というか今のは何なんだ?」
会長がこっちに近づいてきたのを確認して、Gを廊下の真ん中に置く。
「こいつ、園宮 春樹です。今は変装とってちっさくなって猫耳生えてるけど正真正銘園宮だから。介抱してやってください」
「は!?園宮だと!?」
血相を変えて駆け寄る会長。
そのまま自分の世界に入ってしまわれたため放置して逃げようと思ふ。
俺はゆっくり後退りして、近くの階段から他の階へ逃げた。
「………てかテメェ春樹に何してんだ!まさか、お前がゆうー………どこ行った?」
そんな声が少し離れた所から聞こえた気がした。
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