全力災厄。

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「お、おう。2年の柊 悠斗です、よろしく………猫耳についてはカクカクシカジカだ」 「説明雑ー!まあそんなことより、よろしくお願いしまっす!そして同じ腐男子としても仲良くさせてください!」 そんなことって……。 というか、カズは俺のことをよく知ってるみたいだ。 パソコンを閉じ、人懐っこそうな笑顔を浮かべるカズ。 美形ではないが、見ていてこっちも楽しくなるような笑顔だ。 なんというか、クラスに1人はいるお調子者みたいな愛嬌がある。 ぶっちゃけ俺は初対面でグイグイこられるのはあんまり好かない。 だがカズ相手には平気だった。 むしろこいつとは仲良くしたいと思った。 「やっぱ同士か、腐レンズになろうぞ」 「漢字変換もバッチリっす先輩!」 腐男子は繁栄しました! こうして俺は、空き教室で知り合った腐男子遠山 和也と握手を交わし、今までの経緯を簡単に話した。 「なるほど……薬で猫耳ショタ化、しかも王道ちゃんが変装を解いたんですか」 「つーこってん、本題について話していい?」 「あ、はい。さっきは猫耳に動揺してしまって……というか写メ撮りますね、はいパシャリー」 聞くと同時に撮るなよ、確認に仕事させたげて。 たく、いい度胸してるな。 ……まぁいいか、これでようやくパーカーのこと頼めるんだ。 よっし。 「本題ってのはそのパーカーを貸してほしー…」 「嫌っすわ」 うええええぇぇ…………。 まさかの即答? さっきちょっとは仲良くなったくね? 確かにダメ元だけど、ここまで迷わず言わなくったって………。 「え、何で?別にパーカー脱いだって制服着てるんだし問題ないだろ?」 「先輩、その猫耳隠す気なんでしょ?断固拒否です、俺の萌えを隠してなるものか」 理由そこかよ! 俺に萌えを求めんな腐男子! 「お前の萌えとか知らんわ!俺は究極困ってんだよ、頼むから貸してくれ!」 「俺はメシウマです!」 「日本語通じないとか!」 カズは自分の本能に忠実なタイプか、ここまではっきり断るとは………ある意味G以来の強敵かもしれん。 せっかくこの学園内で初の腐レンズなのに………ん? 「………お前も腐ってるよな?」 「イエェェエスッ!!」 無駄にいい返事をありがとう。 いや、それより。 「人に散々萌えとか言ってっけど、どう考えても腐男子総受けはカズ、お前だ!」 「なにを言い出すかと思えば。腐男子総受けは柊先輩以外いないでしょ」 「なん……だと?」
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