全力災厄。

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「何って、ユーの猫耳原理を調べてただけだが?」 魔神さんはサトちゃんの登場に大して驚いてないみたいだ。 というかむしろ……楽しんでる? 「そうかよっ、じゃあ二度と触んな」 「とは言われても、そいつサボってたからな。風紀員室に連れていく必要がある」 手をこっちに差し出して催促してきた。 それ対して、庇うようにサトちゃんが俺の前に出る。 「こいつは俺が責任持って届ける、先輩は業務に戻れよ」 サトちゃん………助けに来てくれたことは嬉しいが、不機嫌すぎやしないか? 殴りそうな勢いなんだが。 それはそれで萌えそうだけど。 「どうしたサト、そんなに焦って。俺がユーを感じさせたのが嫌なのか?お前、もしかして我慢してんの?」 ………どゆこと? サトちゃん何か我慢してんの? 「ーっ黙れ!」 哀れみに満ちた言葉が気に障ったのか、次こそガチで掴みかかろうとしたサトちゃん。 萌えるけどさすがに暴力沙汰はいかんので、とっさに止めに入った。 「もちつけサトちゃん!サボってた俺らも悪ぃんだし、それに暴力はよくない!」 そう言うと、ピタリと止まったサトちゃん。 分かってくれたようだ。 「………ふーん。ユーちゃんは先輩の方を庇うんだな」 パードン? なしてそんな話になる。 ゆっくり振り返ったサトちゃんはダークオーラが滲み出ていた。 なに、俺まで地雷踏んだ? 「いや……………別に庇ってるわけじゃあー……っん!?」 ………………なんで俺、サトちゃんとキスしてんの? どうしてこうなった。 頭ん中は真っ白だが、とりあえず口を完全閉鎖することはできた。 「…………口開け阿呆」 いや、そこじゃないだろ。 この状況についてまず理解できない。 「サトじゃ感じれないみたいだな、ユーは」 魔神さんは煽らないでほしい。 「………ああそうかよ!」 次の瞬間、サトちゃんが溝尾を蹴ってきた。 「ぐふっー………んぅ……!」 蹴って口開かすとかどゆこと!? スタートの時点で酸素が足りてないっていう。 むせたくても口塞がれててむせれない、なんという鬼畜プレイ。 「はっん……ふあ、ヤメッ……んん!」 キスが上手い下手云々の前に酸欠で死ねる。 ダメ元で魔神さんとアイコンタクトを図ろうとするが、笑って見つめ返されただけだった。 そこは止めようぜ、羞恥心で爆発すんぞこら! 「んっく……あ、はぁっ、や………ぁ……」 どうすればいいんだ、舌を噛めばいいのか!?
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