8266人が本棚に入れています
本棚に追加
/221ページ
「毎度毎度同じ失敗繰り返して。恥ずかしくないのかい全く」
兄貴の声が横から聞こえた。
まさか扉の陰にっ………!
気付くのが1拍遅かったか、先に兄貴に尻尾をありったけの力で握られた。
「いっ……てえええええ!離せっ今すぐ離せ痛い痛い痛い!」
「なにすんのよ柊君!危ないじゃない!!」
俺が叫ぶのと草見先生がキレたのは、ほぼ同時だった。
兄貴に集中していて全っ然気が付かんかったが、消火器は草見先生の近くに投下されていたらしい。
椅子1脚とファンヒーター破損。
お前らの死は無駄にしない。
「入った瞬間消火器投げるなんてどう考えてもおかしいでしょ!どんな常識してんの、悪けりゃ大怪我してるわ!!」
「猫耳なんてファンタジーが許されてる時点で常識消え去っとるわ!消火器くらいなら大丈夫だろノリだ!てか痛ぇっつってんだろさっさと離しやがれ!!」
「今、目の前に猫耳兄弟プレイがなかったら、とっくに生徒指導室へ連行してるとこだわ!!萌えを見せたいのか、あたしを殺したいのかどっちかにしなさい!!」
二人して混乱真っ最中のため、対話が見事に成立していない。
そんな中でクソ兄貴は淡々としゃべり始めた。
「ゲームオーバーになっちゃったけど、どうだい?猫耳での登校は充分楽しめたかい?」
ゲームオーバー?
何のことだ。
とりあえず痛い、その一言に尽きる。
「保健室はNGポイントだったんだよ。保健室に逃げ込むようならお兄様の実験台決定。でもちゃんと1日過ごし切ったら、今回は本当にただのプレゼントにするつもりだったんだ」
何その裏設定、いらない。
てか実験台って………
「俺が来るまで待ってるつもりだったんですか、そうなんですか?忠犬ハチ公かおまいは。テラワロス、暇人ざまあ」
さすが兄貴、俺には出来ないことを平然とやってのける。
最初のコメントを投稿しよう!