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「そうか、お前はそんなに実験台になりたかったんだね。オーケー、お兄様もいつも以上に張り切るよ」
「もげるもげるもげるもげるもげるもげるもげるサーセンなんでもないっす!!だから離してうええええええぇぇい!?」
変なこと言わなきゃよかった。
更に黒い笑みを浮かべ、尻尾を引っ張って拉致ろうとしてくる兄貴。
目が本気だ。
本気と書いてリアリティーマジと読むだ。
「自宅?研究所?どっちがいいかな?選ばせてあげるよ」
あれか、溺死か生き埋めか選ばせてやるよ的な選択肢か。
笑えんわ。
「草見せんせっ……たすけ」
「やー萌えるわぁ。さすが柊君、やることが違うわね。ここまで猫耳のクオリティ高いなんて」
夢中でカメラのシャッターきってる先生。
あり……デジャブ?
こんなことが前にもあった気がするお。
………とりあえず。
「では草見先生、失礼しました」
「じゃあね、柊兄弟」
味方は一人もいないようだ。
俺の尻尾を掴みながらズルズル引き摺ってくる兄貴。
「マジもげるからっ!離せっいたい死ぬぅ!!」
「この程度で死なれちゃ困るな」
「え………それどうゆうー……」
結局俺は、あの後兄貴に言うに耐えない屈辱を受けた。
だから何があろうとあそこで起きたことは誰にも言わない。
言うもんか。
次の日サトちゃんに別れてからのことをしつこく聞かれたが、キスしやがった仕返しにシカトしてやった。
ざまあ。
ようやく一段落してこの2日を振り返った。
やっぱ………あれだな。
あの電話に出なきゃよかった。
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