全力幕間。

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「………ふぅ」 「夏休みのバイト代が………」 文化祭が開幕して数十分たった。 その数分で来た場所が、まさか敷地内のコンビニになるとは。 更に詳しく言えばサトちゃんと二人で、ATMを眼前に黄昏ることになるとは。 結局あの後、割り勘じゃないと買えないわガチで軽食しか食えないわで、とりあえず金を卸す方向に。 「これで3日足りるかね……?」 「ユーちゃん、明日から昼飯は弁当な。それかコンビニ」 「Sir」 サトちゃんがいて助かりました本当にありがとうございます。 嫁に欲しい。 とか言ったら逆襲にあいそうだから慎んで止めておく。 手元にはお久しぶりのご挨拶を済ませた諭吉さん。 別れもこの上なくスピーディーに訪れますがな。 全く、親のすねをかじらないヒッキーを目指す俺が、泣く泣くバイトしたその苦労はいずこに? つくづく引きこもり予備軍に優しくない文化祭なこって。 もはや悪意すら感じる。 アンチか? 俺のアンチばっかなのか、この文化祭は。 「何なんだろうな……この学校のデンジャラスな金銭感覚」 「俺もちょっと、いやかなり危機を感じた、財布の」 二人してテンション様が底辺におりにける。 訂正、俺らのアンチばっかだ、この文化祭は。 やっぱマジキチ、もう誰がなんと言おうとマジでキチガイ。 昼飯にはもう金をかけたくないので、弁当をそれぞれ買ってコンビニを出た。 「そういやサトちゃんとこの出し物―……闇鍋だっけ?当番とか大丈夫?」 「まだ全然。てか何、暇な時ずっと居てくれんの?」 「え、まぁそうなるな……」 どうせコタはすぐ逃げるし。 いや、別に二人の他にも友達くらい居るぞ? 居ますから、3桁くらい。 ………やっぱ3桁は盛りすぎた。 でもやっぱね、居心地の良さは否めないっすわ。 そう言うとサトちゃんは頭をポンポン撫でてきなさった。 久しぶりに攻撃じゃなかたお。 「おう、んじゃ一緒に見て回ろうなユーちゃん。後から他の奴と約束とかすんなよ?」 「しないってーの。するなら最初からそうしてるって」 よー分からんが、いきなり機嫌良くなったなサトちゃん。 オカンみたく優しい笑顔を振り撒きおって………マジゴチです。
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