全力幕間。

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「で、なんで来なかったんだ?」 「ずっと体調不良ですた」 「本当のこと言え」 「………はぁ、嘘ついてもしょうがないでしょう?ジ、……園宮もそう言ってませんでした?」 これでまだ疑ってこられたら何て言おうかね。 「確かに春樹もそう言っていたがっ………じゃあ、その話信じていいんだな?」 会長さんがテラ単純な件。 「神に誓って」 いやー俺マジ厨二、ただそれが通用する相手なのである、まる。 「じゃあお前はっ……春樹の何なんだ!」 次はそう来るか。 「何と言われましても、ただのクラスメイト―――つっ!」 「んなわけねぇだろ、春樹をどうたぶらかしたんだ?」 腕、ちょ……痛いわ! てかたぶらかしたとか、実は方法聞き出して俺も実践しまふとかだったらワロスなんだが。 どうしたものか…………お? 「どうした、なにか言っ―――ふぐぁっ!?」 ………華麗なる回し蹴りお見事、会長さん御愁傷様。 「……トイレにしては遅いぞー、サトちゃん」 「ちょっと迷って………てのは嘘で、茶番劇が面白かったから少し見てた」 なぜ助けてくれなかったし。 会長の後ろから現れたサトちゃんは、相変わらずのマスタング大佐で今日もいい保養になりました。 ま、これでもう大丈夫だ。 襟元を正して、倒れている会長さんに合掌を捧げる。 「くっ……待て、ちゃんと答えろ」 「いやぁそう言われましても」 「あ、こいつと俺デキてるから」 …………は? サトちゃんの方を見上げたら、会長には見えないよう小さくウィンクされた。 なるほど、フリね。 確かに今のうち関心を失わせておけば、もう絡まれることはない。 「あー……そう、俺たち付き合ってるから。園宮とは何もねぇよ」 「ユーちゃんによそ見なんかさせねぇもん」 サトちゃんナイス機転。 会長さんめっさ単純だし、これならいける。 「………証拠は?」 しょ、? バッと振り返ると、サトちゃんは満面の笑みを浮かべていた。 ……すっげ嫌な予感しかしない。 「そうだなー……ちょっとこっちおいで?マイハニー」 この笑顔、ぜってぇ確信犯だ。 反射か何か分からんが、無意識の内にジリッと半歩下がっている俺がいた。 乗せやがったな聡くん? 「……少し待ってほしいんだけどダーリ、ンッ……ふ………」 ……予想してたけどさ。 一歩身を引く前に、腕を掴まれて唇を重ねられた。 この短時間で一体何回、無理やり引っ張られたりしたんだろ、俺。
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