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「サト、……ちゃっ、は………」
あーあ、完っ全に乗せられた。
こんの変態……馬鹿、盛んな発情期っ………無駄に上手いわクソ!
キスの合間にうっすら目を開ければ、視界の端に一瞬会長さんが映った。
ダメだ、今拒んだらぜってぇ怪しまれる。
確かにテンプレっすけどね聡さん、薄い本でよくある展開で考えりゃ分かりそうっすけどね聡さん。
実際そうなってみるとかなり難解なシチュエーションで御座いますよとか現実逃避してもどうにもならないわけでして。
拒否……れねー………。
っくそ!
状況が状況だ、サトちゃんは俺のために演技でここまでやってくれている、そう信じる!
こうなったら俺も男だ、これでGへの誤解が解けるんなら腹くくってやらあ!
新たな誤解が生まれる予感大だけどな!
とりあえず拒否ってないですお感を出すために、キスした状態のままサトちゃんの首に腕を回す。
「っ…………!」
その行動に驚いたのか知らんが、サトちゃんは一瞬息を飲んで動きを止めた。
「――は、っどうしたダーリン。こんなもんで終わりか?」
一旦体を離し至近距離で笑ってやれば、本当に驚いてたらしく口を押さえて呆然としていた。
腰に手を回した体勢のまま、見事に固まってらっしゃる。
てかいつの間に、腰に手ぇ回しやがったんだおいコラ。
でも固まっていたのはたった数秒のことで、いきなり強く抱きしめ俺の肩に顔を埋めてきた。
「……―――誘ったのはお前だからな。後悔すんなよ」
「っ――!」
それは俺にしか聞こえない、低くて威圧感のある声だった。
やべぇ、俺自爆フラグ建てた?
めちゃくちゃ調子に乗りすぎた気がするんだが。
ちょ、前言撤回とかまだ間に合うよな?
クーリングオフ出来ますよね?
「あ、はは、いやいやそんな冗談に決まっ………ん、くっ……!」
のああああああぁあぁあああ俺の馬鹿野郎っ!!
誤魔化す前に口を封じられ、片手でがっちり腰をホールドされる。
どうしようマジで逃げれないお。
やらかした………俺もう本っ当に馬鹿だ…………。
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