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「………………」
サトちゃんが絶賛フリーズ中でござるの巻。
馬鹿め、自爆しおった。
消しゴム握りしめてプルプルしておるよクッソワロタ。
「あー………とりあえずお前らが付き合っているのは認めてやる。だから柊悠斗、俺とメアドを交換しろ」
「どの文脈からそんな話に接続したのか教えろっていう」
この状況下で一番最初に口を開いたのは、意外にもロースキャロライナ鷹都会長だった。
とりあえず新たな誤解を植え付けることで、Gとの誤解を取り除こうず作戦は無事成功したらしい。
よかったなサトちゃんよ、結果オーライだぜ。
「いいからケータイを出せ」
「オーイェア」
何故メアド交換を求めてきたのかは分からんが、これで去ってくれるなら万々歳です。
しまいには横で壁ドンを始めたサトちゃんを尻目に、速やかに会長とメアドを赤外線交換した。
「よし、俺が送るからな。受け取るがいい」
「ういーす………あ、届きました。えーと『電話帳に保存しますか?』――――いいえ、っと」
「………てめえぶっ殺すぞ」
「うっはサーセン、消しちゃったんでもう1回送り直しやがってください」
おいおい、トロいことしてんじゃねぇよロースキャロライナ鷹都さんよおおお!!
………一発殴られた、解せぬ。
交換が終わると、業務の途中やら何やらでロースキャロライナ鷹都さんは何事も無かったかのように階段から姿を消した。
あーなんかめっさ疲れた。
時間なんて数分しか経ってないんだけど、数分が濃すぎてもうわたすぅ腹一杯。
これから出し物見て回るとか死んでしまうわ。
…………でだ。
「………サトちゃんはいつまで壁ドンをする気なんだい?」
ドンドンいい加減うるさいぞ。
「――――こんのっ……」
を?
サトちゃん、ようやく声を発したか。
「ど阿呆ッ!!何でてめえはこんな時まで消しゴム持ち歩いてんだよ!馬鹿か!?お前は真髄の馬鹿なのか!?流れは完全に俺の方に来てたのに、ただの消しゴムにっ……一世一代のチャンス返しやがれコラ!!」
ちょ、俺にキレんなビビるわ!
「いやいや嵌めたの間違いだろサトちゃん。そして消しゴムに罪はない」
「ついでに存在意義もねぇよ!」
さっきみたいな危ない空気は無いけど、壁ドンを止めたサトちゃんにまた詰め寄られる。
てか聡さん………あなた涙目じゃないっすか。
え、こんなサトちゃん初めて見たんだが。
なにこれ可愛い。
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