全力幕間。

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「まぁそんな落ち込むなって、ポジティブに行こうぜ?」 「こっからどうポジティブにベクトルねじ曲げろと」 ああああその目の前にある本をおもっくそ破りてぇ。 その素敵な爽やかスマイルが腹立たしい。 「……ん?ユーちゃんのケータイ、電話鳴ってね?」 を? そういや微かに電子音が聞こえるような聞こえないような。 着物の袖へ放り込んでいたケータイを探してみる。 あー……本当だ、鳴ってた。 「…………?」 ディスプレイに表示された名前はよーく見知った相手だった。 もちろん迷わずを通話ボタンをプッシュした。 「よーっすコタ、どうかした?」 『僕ぼっちなんだけど』 「あひゃあひゃ乙ですわ」 『………死ね』 マジブラックモードのコタさん怖すぎわろえない。 電話の相手、浩太郎くんはどうやら独りが寂しくて電話をかけてきたらしい、かわええ。 『まぁ冗談はさておき』 「なんだ、ぼっちじゃねぇのかよー。つまらん」 『君と違って僕にはごく普通の友達いるからね』 俺の周りが変人ばっかみたく言うなし。 そしてその中に、お前自身が含まれてることをちゃんと理解してんのか? 『それで用事なんだけど、僕のポケットに入ってた紙切れ何?』 「………紙切れ?」 んなもんあったっけか? 『なんかちょっと気持ち悪い文面のやつだよ』 「んー………、ああ!あのストーカーチックなやつか!」 『やっぱ悠斗君だったんだね』 「あ…………」 しまった、墓穴掘った。 そういやそんな物あったな。 忘れてたが開会式でコタのポケットに忍び込ませたまま放置してたんだった。 『で、あれ何?』 「何って……見たまんまじゃね?」 『まったく、そういうイタズラは渓上君にでもやんなよ。喜ぶんじゃない?』 ……あれ? なーんか会話が噛み合わねぇ。 もしかしてもしかしなくとも、コタは俺があの手紙を書いたと思ってる? 本当はリアル俺のストーカーが書いたんだけど、まぁ別にそれならそれでいいか。 『とりあえず合流していい?今どこにいる?』 「あ、おう。特別棟の生物準備教室、今は九十九師匠のアジトになってるとこだ」 『了解。ついでに君に会わせたい人を連れていくから』 誰………って電話切れてるし。 切るの早ぇよ、余韻を大事にしなさい全く。 「会わせたい人……彼氏か?」 「どしたユーちゃん。てか今の電話横江か?」 「ビンゴ。こっち来るらしいから途中まで迎えにいこう」
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