全力幕間。

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「じゃあ、じゃんけんで組分けでもするか」 「5人だから………」 「誰か1人ってことで」 お化け屋敷を前に5人で円を描くように立つ。 ……なにこのジリジリとした緊張感、これからバトルロワイヤルでも始まるくらいのあれだぞ。 いや、これは俺にとっても死活問題なんだ。 俺もちゃんと真剣になろう。 とりあえずGだけは全力回避。 中で何されるか分かったもんじゃねぇ。 同じ理由でサトちゃんも却下。 つーこってん師匠かコタ来い! マジで来い頼む、1人ならそれはそれでラッキーなんだがッ……! 「じゃあいくぞ………」 5人が前に手を出す。 きっと各々組み合わせに関して思うところはあるはずだ。 ―――だからこそ外れクジだけは引きたくねぇ! 「じゃんッ、けんッ―――!」 「っしゃあああああああ!!コタきたああああああ!!俺の時代きたあああああああああ!!」 「なんでチョキ出したんだ俺ぇええええええ!!」 「悠斗と離れたあああああああああああああああああああ!!」 結果。 俺とコタがパー、サトちゃんとGがチョキ、師匠がグーだった。 「………阿鼻叫喚なうなんよ」 やべぇなキテるぞ、俺もしかして運全振りしたんじゃね? ここでコタと一緒とかフラグもイベも回避した同然じゃねぇか。 「ユーちゃん何でお前1人勝ちしてんだよ!せめて俺と!せめて俺だろ!!」 「はいはいマジ乙。サトちゃん、潔く逝ってこいや」 「そんなっ……悠斗とっ……!」 俺達3人の叫びに対してコタと師匠は静かに固まっていた。 あ、通行人の目が痛いお。 「えーと……なにこれ」 「横江浩太郎、君だっけ?多分この3人は各々ペアになりたい相手が居たんだと思うんよ」 「あ、そうなんですか。わざわざ説明ありがとうございます」 まさかこの二人はペア誰でもよかったのか、ある意味その精神力が恐ろしい。 「まぁ俺としては園宮春樹と一緒にならなければ問題ないんよ」 「それには同感です、全く」 コイツら………。 いや、だがしかし。 俺もそれを願い、そして回避した組だからな。 それすなわち勝ち組! これでもう安心だな。 「ああああああ!!俺悠斗じゃないとやだあああああ!!」 「俺だってユーちゃんがよかった……てかG以外がよかった」 「しゃーないなー、俺は1人で気楽にいくんよー」 「じゃあよろしく、悠斗君」 ………ふぅ。 これで、心おきなく逃げれる。
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