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転校生はまさに王道だった。
黒いウィッグにダサい黒渕眼鏡、王道小説でも予習してから来たのかお前はと言いたくなるほどだった。
とりあえず見た目アウトだったから、Gと名付けておく。
やつは教室に入ると罵声の嵐を浴びた。
あの見た目じゃそうなるわな、生理的に受け付けん。
まぁ……もしここで、この状況を冷たくあしらえるようなら、そこまでウザい王道ではないはず。
と俺は思い直しまして。
期待を込めた第一声。
「俺の名前は園宮 春樹!みんなよろしくな!」
0円スマイルを振り撒いたG、クラス内死亡のお知らせ。
そしてグッバイ俺の青春。
期待した俺が馬鹿だった。
「あー春樹の席は、吉野の隣な」
ダルデレ担当の瀬戸先生が名前呼びでそう言えば、またまた罵声の嵐。
そのあとGは、転ばせようとクラスメイトが出した足をことごとく踏んだ。
とりあえず隣じゃなくてよかった…………ん?
「俺、吉野 秀(しゅう)ってんだ。お前面白いやつだな、これからよろしく!」
「俺のことは春樹でいいぞ!俺も秀って呼ぶからな、よろしく!」
目の前で爽やか系吉野を味方につけたG……恐ろしい子。
いや、そんなことよりそういや吉野は俺の斜め前の席だった。
で、今俺の目の前の席にいやがるのが
「なぁなぁ後ろのお前、これからよろしくな!」
なんでGなんだ。
これから毎日、目の前にGとか鬱になるわ。
というわけで俺は、よろしくしたくない宣言をしてサボりに来たところだったんだよ。
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