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「いやぁ……実はですね―……」
「何してんだユーちゃん!!」
ふおっ、ビビった!
後ろに振り返れば、ものっそい形相のサトちゃんが走ってきていた。
駆け鬼中なの忘れてますた。
慌てて魔神さんの後ろに隠れる。
「やめろ、止まれ、近寄るなあぁあああ!」
「気付け阿呆!先輩も鬼だ!!」
…………ほいさ?
鬼って生徒会と風紀と抱かれたいラン、あ。
そういえば、と自分の頭に手を伸ばす。
ハチマキが………ない。
もしかして俺捕まった?
「あの……魔神、さん?」
「あぁ、悪いな」
俺のハチマキを掲げながら怪しい笑みを溢す魔神さん。
「………いや、なんか今の魔神さんの顔見れたなら本望っすわ」
なんというか、魔神さんがあまりにも妖艶で敗北感が沸かない。
「チッ、遅かったか」
おうおう悔しそうだな聡よ。
サトちゃんの珍しい表情見れたし、これはこれで良い結果だ。
『……3、2、1、時間切れ!!生徒の皆さんは、グラウンドに集合してください!』
ナイスタイミングで終わった。
この駆け鬼、途中経過報告ないし、集計も後日だから放送部は暇の極みだっただろうな。
俺たちは3人でグラウンドに戻り、引き続き閉会式が行われて、体育祭はあっさり幕を引いた。
…………にしても、あのGは一体何だったんだ。
まあいい、記憶から抹消しよう。
しかし、これからが本当の始まりだったなんて、俺は知る由もなかった…………的なフラグは建てません。
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