12 * 涙

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―――――――― ――――― 「暖かいですね。」 「……はい。」 4月になった。 桜の花はもう散ってしまった。 今は地面に桜色の絨毯を作ってる。 ……もう、春が来たのか。 総司さんと夜桜を見てから、もう2年。 そして、私が幕末に来てから もうすぐ4年が経とうとしてる。 本当に、 本当に、様々なことがあった。 昔のことに思いを馳せていると、ふわっと優しい風が吹いた。 閉じていた目を開けて、風で舞い上がる薄紅色の花びらを見つめた。 京都にいたときと違って、 江戸に来てから、本当に時の流れがゆっくりに感じる。 時代に、取り残されているような。 だけど同時に、 平和が訪れたような。 そんな不思議な感覚さえする。 「夏樹。」 小さい声で呼ばれて振り返ると、総司さんが手で「おいで」のサインをしていた。 起き上がることができなくなった総司さんは、時々こんな感じで私を呼ぶ。 そして私が近づくと、 ほら、いつものように きゅっ、と優しく、 少し頼りない腕で抱きしめてくれるのだ。  
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