12 * 涙

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「夏樹。覚えてますか?  一緒に、夜桜を見に行ったこと。」 あっ、 「私も今、  同じことを想ってました……。」 「ふふ……、」 総司さんは嬉しそうに笑って、 「一緒ですね、なつき。」 そう言ってから、もう一度、弱々しくはあるものの抱きしめてくれた。 あぁ、本当に。 本当に彼は私の心を擽るのが巧い。 「なつき。」 「……?」 「なつき……。」 何度も何度も総司さんの名前を呼ばれて、閉じていた目を開けた。 その時に、気付いてしまった。 「……、」 総司さんの瞳に、涙が浮かんでいたこと。 もしかして、 自分がもうすぐ死んでしまうことを…… 「総司さんっ……」 思わず私の視界が霞む。 それを気付かれまいと、総司さんの肩に顔を埋めた。 なんだか最近、泣きっぱなしだ……。 自分の弱さを、改めて痛感してしまったのだ。
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