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「ブラッディ・バンブレ!」
グレート・ザ・屍豪鬼の右腕が赤黒い竹刀に変化する。そしてその竹刀を、勢いよく地面に突き刺す。
“ビシシィィイイッ”
地面が大きく裂け、巨大な穴が開いた。そして地の底から、リングがせり上がって来た。
「クソ生意気な鹿の子を、この儂が直々にしごきにしごいて、しごき倒し、しごき尽くし、しごき泣かし、終いにはしごき殺してくれようぞぉ!」
リングに上がったグレート・ザ・屍豪鬼は、ガゼルマンを睨みつけながら言い放つ。
「ぬかせ! この落ち武者野郎が!」
ガゼルマンは茶色の閃光となって、グレート・ザ・屍豪鬼に飛びかかった。
「アントラーフィスト!」
“ガシュッ!”
グレート・ザ・屍豪鬼の胸が裂かれ、大きな爪の跡が刻まれた。
ガゼルマンの手甲には、2本の爪が装着されている。
「どうだい、ガゼルの爪撃、アントラーフィストの味は?」
グレート・ザ・屍豪鬼は口角で笑った。
「シゴシゴシゴッ! ガゼルの爪撃? アントラーフィスト? 鹿の子よ、儂はてっきり、孫の手で掻かれたのかと思ったわい」
切り裂かれたはずのグレート・ザ・屍豪鬼の胸には、アントラーフィストの傷跡が消えていた。
「な、なんだと?! 馬鹿な!」
ガゼルマンは我が目を疑った。目を見開いて、グレート・ザ・屍豪鬼の分厚い胸板を凝視する。
「確かに手応えはあった! 確かに胸を切り裂いた! なのになぜ、傷が無いんだ!?」
グレート・ザ・屍豪鬼は胸をボリボリと掻きながら、ガゼルマンに歪んだ笑みを見せる。
「シゴシゴシゴッ! そう言えば、自己紹介がまだだったなぁ。この儂、グレート・ザ・屍豪鬼という超人はなぁ、d.M.pのメイキング超人だったのよ! シゴシゴシゴッ!」
「d.M.pのメイキング超人? な、なんだそれは?!」
ガゼルマンは困惑した顔をグレート・ザ・屍豪鬼に向ける。
「悪行超人製造工場であるd.M.pは、いわば悪行超人の育成所。貴様ら正義超人で言うところのヘラクレス・ファクトリーじゃい。ヘラクレス・ファクトリーでは、伝説超人達が新世代超人の育成を行っていたなあ。同じくd.M.pにも、悪行超人の育成を担う超人が存在する。それがメイキング超人よ!」
「つまり、d.M.pのコーチ役、トレーナーってわけか」
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