【第1試合】 VSグレート・ザ・屍豪鬼(2)

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「シゴシゴシゴッ! いいか若造! 教える者、育てる者ってのはなぁ、そいつ自身も一流の超人なんじゃい! 経験豊富、知識豊富、修得技術豊富、あらゆるものが豊富な超一流超人様なんじゃあ!」  グレート・ザ・屍豪鬼は勢いをつけて右腕を振り上げる。 「ブラッディ・バンブレ!」  グレート・ザ・屍豪鬼の腕が、赤黒い竹刀に変化する。 「しごき桜・乱れ咲きの刑!」  グレート・ザ・屍豪鬼は、赤黒い竹刀をガゼルマン目がけて振り下ろす。 「ぐぅッ! ぎゃああぁぁあああッ!!」  悲痛な叫びとともに、ガゼルマンの全身から血飛沫が飛び、辺りに撒き散らしていく。リング上の白いキャンバスには、鮮血の血桜が乱れ咲く。  ガゼルマンの黒目は、ぐりぃと上に向かい、白目を剥いてしまう。そして膝が、がっくりと折れ、ガゼルマンは力なくリングに沈んだ。 「シゴシゴシゴッ! 我が竹刀が赤黒いのは、しごきにしごきぬいた若造達の血が染み込んでいるからよ! 今日もブラッディ・バンブレは、黒々、赤々と怪しく輝いておるわい! シゴシゴシゴッ!」  ガゼルマンの鮮血で染まったブラッディ・バンブレを眺めながら、グレート・ザ・屍豪鬼は高らかと笑い上げた。  ガゼルマンが倒され、圧倒的な強さと非情すぎる残忍さを目の当たりにした人々は、半狂乱になりながら再び逃げまどう。 「だ、だめだ! つ、強い! 強すぎる! ベストメンバー不在の新世代超人じゃあ、全く歯がたたないぃ!」 「お、終わりだぁ! 地球が乗っ取られる! 悪行超人に乗っ取られる! 平和が乗っ取られるぅ!」 「いやぁ! 悪行超人がはびこる世の中なんて、そんなのいやぁ! 悪行超人の時代の幕開けだなんて、いやあぁぁぁッ!!」  蜘蛛の子を散らしたように、縦横無尽に逃げ駆ける人々。そんな人ごみの中で、唯一、リングに向かって走る者がいた。  ローブで全身を覆い隠している、小柄な姿。リングの目の前にまで来ると、くやしそうに呟いた。 「お、遅かったですぅ……間に合わなかったのですぅ……」  その声は、あどけなさが抜けきらない、可愛らしい少女の声であった。 「……こういう日が訪れてしまう前にぃ……見つけ出しておきたかったのにぃ……結局、見つからなかったですぅ……探し出せなかったですぅ……」  ローブ姿の少女は絶望した様子で、へたりとその場に膝をついた。
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