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「……申し訳ございませんですぅ、ミート様ぁ……」
うなだれるローブ姿の少女。その横を、逃げまどう人々が走り抜けていく。
「あああ、あの……だだだ、大丈夫……ですか?」
不意に聞こえた声に、ローブの少女は顔を上げる。すると目の前に、小さな手が差し伸べられていた。
手を差し伸べたのは、気弱そうな少女であった。いまどき珍しい瓶底メガネ、ボサボサな髪を無造作に結ったツインテール、一瞬小学生かと思ってしまうほどに小柄な見た目。そして幼い見た目を強調するかのような、アニメ調にデフォルメされた超人の絵が描かれている、幼児向けの服を着ている。更に少女の仕草やしゃべり方からは、いかにも気の小さい、引っ込み思案な性格であるということが、いやがおうにも伝わってくる。
「あ、ありがとう、ですぅ」
人々が逃げまどう中、唯一、このボサメガネな少女だけが立ち止ってくれた。それがローブの少女には、とても嬉しかった。
目に溜まった涙を拭いながら、ローブの少女は差し伸べられたボサメガネ少女の手を、しっかと掴んだ。
“キピュアアアァァァッ”
その時である。ローブの少女の胸元から光が溢れだした。
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