【第1試合】 VSグレート・ザ・屍豪鬼(3)

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「正義超人界の至宝、マッスルジュエル。このマッスルジュエルに超人強度の一部を込めると、マッスルジュエルにはその超人の能力情報が全てインプットされる。そして、マッスルジュエルを手にした者は、インプットされた超人の全能力を受け継ぐことができる。例えば、先程この儂がしごき倒した鹿の子超人が、もしもケビンマスクの能力がインプットされたマッスルジュエルを手にしたら、どうなるのか? 鹿の子は元々の自分の能力に加え、ケビンマスクの能力をも上乗せして手にすることができる。具体的に言うと、鹿の子はケビンマスクのフェイバリットホールドであるビッグベン・エッジや、ロビン王朝版火事場のクソ力と言われる大渦パワーを使うことができてしまう。もちろん、元々の自分の技であるアントラーフィストも使用することができる。つまり、ヒヨッコ超人である鹿の子が、ケビンマスク以上の強豪超人になってしまうということじゃあ。そうじゃろう?」  ローブの少女は目に涙を溜めながら、グレート・ザ・屍豪鬼から顔を逸らした。しかしグレート・ザ・屍豪鬼はローブの少女の頬を掴み、無理やり自分の方へと顔を向けさせる。 「だがよぉ、お嬢ちゃん。マッスルジュエルの力を得ることができるのは、マッスルジュエルに適合した適合者だけ。そうじゃったよなあ?」  ローブの少女は涙目になりながらも、きつくグレート・ザ・屍豪鬼を睨みつけた。 「そ、そうですぅ。誰もがマッスルジュエルの力を得ることができるわけではないのですぅ」  グレート・ザ・屍豪鬼はニタリと歪んだ笑みを浮かべながら、ローブの少女を睨み返した。 「それにしても、じゃい。お嬢ちゃんみたいな娘っ子がのお、なんでマッスルジュエルなんていう、トップシークレットな超重要機密品を持っているんじゃい? 確かこいつは、キン肉神殿の最奥にある大金庫で、厳重に保管されてたはずじゃが?」  ローブの少女はビクンと肩を震わせた。ローブの少女の身体が強張る。 「お嬢ちゃんよお。貴様はいったい、何者じゃあ?」  ローブの少女は口をつぐみ、目線を下に落とし続けた。 「何者だと聞いている!」  グレート・ザ・屍豪鬼はローブの少女の胸ぐらを掴み、そして強引にローブを引きちぎった。 「き、きゃあああぁぁぁああッ! ですぅ」  悲鳴と共にローブが破られると、ローブの下から、まだあどけなさが残る可愛らしい少女が現れた。
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