【第1試合】 VSグレート・ザ・屍豪鬼(4)

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 しかし、滑るボサメガネ少女に、リングを支えている鉄柱が迫っていた。ボサメガネ少女はとっさに顔と上半身を曲げ、ヘッドスライディングをしたまま、無理やりにドリフトをかます。 「48の殺人技のひとつ、超人ドリフトぉー!」  ボサメガネ少女の身体はグレート・ザ・屍豪鬼を中心に、美しい円を描きながら横滑りしていく。そして、華麗に鉄柱を避けきったボサメガネ少女は、グレート・ザ・屍豪鬼の目の前で停止した。 「あ……」  ボサメガネ少女とミーノの、間の抜けた声がハモる。 「わざわざ儂のために、マッスルジュエルを運んできてくれるたあのお。ご苦労さんじゃい」  グレート・ザ・屍豪鬼は意地の悪い笑みを浮かべながら、ボサメガネ少女に向かって手を伸ばす。  ボサメガネ少女はとっさに身体を起こし、涙目になりながら後ずさりする。 「往生際が悪いぞい」  グレート・ザ・屍豪鬼から必死に逃れようとするボサメガネ少女だが、無情にもグレート・ザ・屍豪鬼に捕まってしまう。ボサメガネ少女の細腕が、グレート・ザ・屍豪鬼のごつごつの手に掴み上げられた。  悪行超人と人間の少女。どんなにボサメガネ少女が抵抗しようとも、グレート・ザ・屍豪鬼から逃れることは不可能である。赤子の手を捻るよりも容易く、グレート・ザ・屍豪鬼はボサメガネ少女からマッスルジュエルを奪い取った。 「シゴシゴシゴッ! やった、やったぞお! 遂に手に入れたぞい、マッスルジュエル! これで叶う! 新生d.M.p、デヴィル・メイキング・プラントを結成できるわい!」  グレート・ザ・屍豪鬼は、まるでポイ捨てをするかのように、ボサメガネ少女を放り投げた。そして、マッスルジュエルを見つめながら、誇らしげに笑い上げる。 「マッスルジュエル! なんて可愛らしい姿じゃあ。舌を出して、まぶたを引き下げていて……ってえ! なんじゃい、こりゃあぁ!」  グレート・ザ・屍豪鬼の手には、あかんべえをしているミーノの人形があった。 「シュラスコ忍法、変わり物の術! ですぅ」
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