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はじめは何を言ってるんだこいつはと思った。しかし、よく考えてみると、その考えもありえないことではないと思えてくる。
いつのまにか見覚えのない奇妙な部屋に閉じ込められているという普通でない事態が起こっているのだから、昨日の俺たちに普通でない事態が起こったと考えるのは自然なことだろう。
「それなら、俺たちをここに連れてきた犯人は何のためにこんなことを?」
俺の疑問にケンスケは首を傾げる。
「うーん、そうだな……。そういえば、国の秘密機関に囚人に対して実験を行うのを担当しているところがある、というのを聞いたことがあったな。噂があるだけで本当かどうかわからないんだけど。何か、そうとうエグいことをするらしい。もし、犯人がその連中だったら……」
「俺たちは何も悪いことなんかしてねぇぞ」
さすがにそれはないだろう。ケンスケも考えすぎだ。
俺は軽く笑い飛ばした。そんな俺に対し、カズキは少し不安そうな顔をしている。カズキは神経質で気が弱いので無理もなかった。
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