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ーー大丈夫……なわけないよね。
君は抱えきれないほどの強い感情を持っている。
それもマイナスの。
一体何があったのか、ぼくに教えてくれないか?
ーー……どうして私と話せるの。
ーーぼくは君たちの感情が理解できるという特殊な能力を持っているんだ。だから、君たちが考えていることは手に取るようにわかる。
ーー……どうして私なんかを拾ってきたのよ。こんなに醜くてみじめな私を。
あのまま風雨に晒されて、虫に喰われて跡形もなく消えてしまいたかったのに。
ーーそんなこと言うなよ。君はぼくにとって初めての存在なんだ。
ぼくは今まで君の仲間をたくさん見てきた。表情は変わらないけど心の中はわかるんだ。
喜んでいるもの、悲しんでいるもの、怒っているもの、わくわくしているもの……。
でもそんなわずかな感情を読み取れる君の仲間に出会えるのは稀だった。
ほとんどのものは感情を持たない。完全な“モノ”なんだ。
ところが道端に捨てられていた君からは感じるものがあった。ここまで強い感受性を持った人形に出会ったのは初めてなんだよ。
そこで好奇心で持ってきてしまったわけさ。
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