夜の友だち

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それから母に聞いたのだけれど、十年ほど前、あの横断歩道を歩行中の母親とその幼い娘が、信号無視の車に轢かれて亡くなっていたらしい。 私はそれから二度と声を聞くことはなくなった。 後悔した。もっとあの子と話してあげればよかったと。 あの子は母親以外、一緒に話したり、遊んだりする人がいなくて寂しかったのだ。友だちがほしかったのだ……。 ある晴れた休日、私はその横断歩道を訪れ、道端に持ってきた花を置いて、静かに手を合わせた。 ーーレイカちゃん、あの世ではたくさんの友達に囲まれて、幸せに暮らしていればいいな。 そのとき、風の鳴く音に混じって、女の子の声が聞こえた気がした。
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