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「ちくしょぉ!」
ここで、黙ってドアを睨みつけていたユウキが怒りを露にしてドアに向かって突進した。
ドン!
俺たちは固まった。ユウキがドアをおもいっきり蹴ったからではなかった。気性の荒いユウキはしょっちゅうキレていたし、ドアも当然のごとく開かない。
ならなぜ固まったのか。ドアを蹴る音をかき消す大きな音を立てながら、何かが床から飛び出したからである。
タケノコのように床から顔を出すそれは十センチほどの直方体で、上には赤い字で“STOP!”と書かれている。
何かのボタンのようだった。
全員が黙ってそのボタンに注目している。
「……こうしていても何も始まらないし、押してみるか?」
俺はみんなに提案をした。ケンスケとカズキは同時に頷いた。ドアのそばに立っているユウキも二人に遅れてゆっくり頷いた。
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