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ユウキが叫んだ。
「やばいぞケンスケ!どうする」
「うわああああ!」
ケンスケが何かいいかけたが、カズキの悲鳴がそれをかき消した。カズキは一心不乱に何かをどけている。
水死体だった。
水を吸ってぶくぶくに膨れ上がった死体は男か女か判別できない。その顔は苦悶に歪んでいるようにも見えた。
俺は突然現れた死体とこの状況に混乱しつつも考えた。
もしかしたら、この部屋の下にもここと同じような部屋があって、俺たちがさっき話している間、下の階では今と同じように誰かが水に捕らわれていたのかもしれない。そして水が部屋を満たした結果、この人は溺れ死ぬことになった。
もう少し時間が経てば、やがて俺たちもーー。
俺は近くなった天井を仰いで恐怖に震えた。
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