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女の子の名前はナナといった。
五歳の笑顔がかわいい女の子で、彼女は私を放っておく時がなかった。
一緒に遊び、一緒に出かけ、一緒に寝る。
肌身離さず持ち歩き、私を大事そうに抱き締めた。
お風呂に入るときは人間でない私を一緒に連れていこうとしたり、食事のときは私を隣の席に置いて私の口元にスプーンを運ぼうとして親に怒られ、泣いていた。
そんな彼女を私は愛していたし、彼女もまた、私を愛していると思っていた。
幸せな日々がこのままずっと続くと思っていた。
ーーあの日までは。
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