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新たな私の所有者は八歳の女の子で、チエという名前だった。
チエは以前のナナと同じように人形が大好きで、私を大事にしてくれた。
けれども、私はチエを簡単には受け入れられなかった。
なかなか立ち直れなかった。
ナナが私を捨てたという現実は、私の心を抉り取り、深い悲しみと恨みの感情を埋め込んだわ。
毎日、ナナを呪って過ごしていた。
こんな恐ろしい人形にもかかわらず、数多の人形やぬいぐるみの中でも、彼女は私を最も愛した。
家ではいつも私を身近に置き、学校であった出来事や、嫌いな先生の愚痴、恋の悩みなどを話しかけ続けた。
彼女の言葉は、閉ざされていた私の心をゆっくりと開けていったわ。
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