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「それでは、試合開始」
開始と同時に相手が能力を使う
相手は自分の影の中に手を入れた
どういう能力なのか分からないから簡単には動けないな
相手が腕を肘の辺りまで入れて、ゆっくり引き抜いた
肘から下が真っ黒だ
あれは影なんだろうか
「行きますよ」
両手にひっついた影を獣の爪のように変形させて突っ込んできた
ただ動きが遅い
僕は後ろに軽く跳んで回避した
相手も僕から距離を取る
…?
よく見ると相手の影の爪がさっきとは形が違う
爪が少し伸びていてその先には血がついている
胸の辺りを少し切られたみたいだ
しかしもう痛くない
僕は隠してる能力のおかげで傷ついたそばから傷が治癒する
僕の本当の能力は伝説上の生物である不死鳥、火の鳥のような能力だ
海斗が僕を鳥と言ったがあながち間違いじゃない
その気になれば飛べるし
「何ボケーッとしてるんですか?行きますよ」
話しかけるなよビッチ
君みたいな人間は嫌いなんだ
そこらへんで見かける度に恋人が変わってたりするような輩はね
考え事をしているとビッチが自分の影に潜った
どこに行った…?
僕がキョロキョロしていると僕のすぐ後ろで水が跳ねたような音がする
振り返ろうとしたが遅かった
右脚を影のナイフに刺される
「…ちッ!」
柄にもなく舌打ちをする
完全に油断していた
僕はすぐにビッチの腕を掴んで影から引きずり出す
そのまま地面に叩きつけてうつ伏せにさせ抑えつける
「君の負けだよ、火だるまになりたくなかったら負けを宣言しな」
「ま、まいり…ました」
試合には勝てたが完全に油断した
まさか二度も能力を発動してしまうとは
「嘉神川くん!また勝ったね~!傷大丈夫?」
瀬尾さんが心配そうに言う
「ありがとう。傷は大したことないよ」
嘘ではない
切られたり、刺された場所は跡形もなく完治している
「え、本当に?でも痛そうだったよ?」
瀬尾さんに嘘を吐くのは嫌だけど
本当のことを言って接し方が変わるのも嫌だ
でも海斗には話したのに瀬尾さんに話さないのもな
「嘉神川くん?」
瀬尾さんだったら変わらず接してくれるかな?
話して…みようかな…?
「お~い」
でも中学の時はそれで離れてった奴とかいるしな…
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