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うっすら目を開くと、舗装されていないデコボコとした街道が一直線に続いていた。人の気配が感じられない。街道の両側には生い茂った木々が鬱蒼と広がり、空を見上げれば陽が高く昇っていた。
街道を吹き抜ける風が冷たい。ぶるっと身震いして両腕に触れると、身に着けていた衣服はボロボロだった。長く伸びたブラウンの髪を指で払い、自分の体をまじまじと見てみる。
腹部に大きな穴があいた黒いシャツ。肩には青を基調としたショルダーパッドが装備され、腰の後ろには剣が納められていない空の鞘が斜めに下げられていた。
「ここ・・・・・・どこ?」
一体、なぜこんな格好をして、人気のない一本道に突っ立っていた? 今までおれは何をしていた? この状況はまずい。しばらく頭を捻っても、頭の中が真っ白で何も思い出せない。さらに言えば若干、頭痛がする。こうなれば考えても仕方が無い。目の前に続く街道を、前に進んでみよう。
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