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腰の後ろには、中身の無い剣の鞘だけ。武器なら、あるじゃないか。立派な打撃武器が。引っ提げられた鞘を腰から外し強く握りしめると、身を隠していた茂みの中より、ドレスを着た少女の前へと躍り出た。
即座に魔物が二匹、喰らいつこうと襲い掛かってくる。
「どけっ!!」
飛び掛かる魔物に鞘をぶつけ、怯んだ隙に蹴りを見舞う。足の裏にズシリと魔物を捉えた重い衝撃が伝わる。もう一匹の魔物が飛びかかる瞬間、ドレスを着た少女の前へ転がり避けた。
「剣を貸せ!!」
「えっ?」
少女の有無を聞かず剣をそのまま奪い取った。三匹のゴブリンが武器を振り上げ駆け寄ってくる。狙いはおれだ。
「っはぁ!!」
振り払う剣に一切の迷いはない。放つ一撃が駆け寄る二匹のゴブリンの喉を掻っ切る。短剣を高々と振り上げたもう一匹のゴブリン。動きも遅ければ隙しか見えない。右足を一歩踏み込み、勢いよく右腕を突き出す。剣先が、ゴブリンの頭部を貫いた。
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