15人が本棚に入れています
本棚に追加
とある都市の外れに、年季の入ったビルがそびえていた。
それは、旧ホテルであったが、
今は黒いスーツを着用した物騒な連中が頻繁に出入りしている。
どうやら、どこかの組織がアジトに利用しているようだ。
そのアジトの門番に任命された若い黒服が二人。
その二人の視界に唐突に五つの人影が現れた。
「なんだ、お前ら…学生か?」
「此処は関係者以外立ち入り禁止だ」
一人の黒服が問いかける。
続くように、もう一人の黒服が言った。
すると五人の内、男一人が無言で黒服達へ歩みを進めた。
男の容姿は、二十代前半、黒い髪と赤の混じった褐色の瞳。
胸元には、金属製の十字のネックレス。
黒服が学生かと問いかけたのは、男の後ろの四人の内に少年少女が含まれているからであろう。
高校生と見られる二人の男女。
白衣を着用し、眼鏡を掛けた知的な二十代の男。
そして、高校生であろう女が押している車椅子に座った、小学生位の小さな少女。
五人の中でも、その少女が一際目立っている。
黒をベースにしたゴシックロリータな服装に、フワフワとした金髪。
さらに、異質を感じさせる両目に巻かれた包帯。
さも、人形のような少女だ。
黒服達は、この五人に何故か恐怖を覚えた。
そう思っている間にも、十字のネックレスの男は、黒服との距離を詰めて行く
距離が五メートルほどになると、男は歩みを止めた。
最初のコメントを投稿しよう!