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その光景に冷たい視線を向ける椎堂は歩みを再開し
続いて背後で待機していた四人もビルの扉へ向かっていく。
眼鏡に白衣の男が、血の水溜まりを跨ぐと椎堂へ疑問を投げ掛ける。
「カズヤン、コイツら運んどく?」
眼鏡に白衣の知的な印象とは裏腹に、軽々しい口調。
それに対して椎堂が冷たく返答する。
「いや、放っておけ。お前の能力ではどのみち血痕は残る。」
それよりも、と続けて
「金城(カネシロ)。お前は心結(ミユウ)の道具を運ぶ準備をしておけ。
運ぶ場所は改めて連絡する。」
眼鏡に白衣の男。金城は、心結と呼ばれた人形のような小さな少女に、一度目を向けると
「りょーかい!!」と言い残して、その場から“消えた”。
文字通りに、元から其処に居なかったかのように姿を消した。
あたかも当たり前の様に、金城を抜いた四人は、金城が消えた事に関して無反応だ。
椎堂はビルの扉に触れた。
ガラス張りの自動で開く筈の扉はロックが掛けられているようで、固く閉ざされている。
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