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今更ながら、ダイスケの容姿に目線を向ける。
灰色のフード付きのパーカーに
ジーンズ生地のズボン。
パーカーの下は黒いVネックのTシャツ。
フードを被っているため
今は余り見えない黒髪。
ダイスケから言わせると「フード付きのパーカー以外はパーカーと認めない」だそうだ。
確かに何着持っているのか分からない位に、毎日シンプルなフード付きパーカーを着ている。
「フードを被ると落ち着く」
これも、ダイスケの言葉だ。
確かに、どこそかの違うダイスケさんみたいに
フードを被っている時の方が狙撃の技術は向上し、能力の質もたかくなっている。
僕が無駄な思考に時間を費やしていると、ダイスケのスマホがイルミネーションを点灯し、軽やかなメロディを奏でた。
メロディからしてメールを受信したのだろう。
僕は弾を込める手を停止させ、
ダイスケは静かにイヤホンを外して
メールの文面を確認する。
すると、握りしめていたスマホを僕へ放り投げて、素っ気なく指示を下す。
「今日のターゲットの行動がよめた。準備をして“北区商店街中央通り”に向かうぞ」
フードの奥に見えるダイスケの瞳が
獣のように鋭くなった。
放り投げられたスマホをキャッチして
ディスプレイへ視線を向ける。
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