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朝、教室に入った僕を迎えたのはにこやかに笑う貴族達だった。
作り笑いと媚を売るためのお世辞、黒髪になる前はよく聞いていたそれを久々に聞き流しつつ教室に入る。
「よっ。」
「あ、おはようユート、マリー。
それにシエラレオネさん。」
「はろーん、昨日は快勝おめでとにゃ!」
「………。」
「あはは、ありがとう。」
「お、スカーレ。」
「………あぁ。」
スカーレ君も登校して来た。
スカーレ君が来たことで蜘蛛の子を散らすように散って行った貴族の生徒達。
そういえばなんだかんだでこの五人で集まることが多くなったなぁ。
「そーいえば今日はすっごいゲストが来るって話にゃん!!」
「ゲスト?」
マリーがそう話し出す。
「職員室にプリント届けた時にちらっと聞こえたのよん。」
凄いゲストかぁ……
「ユートはどんな人だと思う?」
僕は眠そうにあくびをするユートに問う。
彼はあまり興味がないようだったが、顎に手を当てると
「そうさねぇ……この学園お固いしアホ騎士だ……げふんげふん、王立騎士団とかそこらじゃね?」
王立騎士団、それはこの国の王族を守護するエリート集団、騎士団とは言うもののその中身は最新鋭の装備を身につけた精鋭達で構成されている。
「全員座れ、ホームルームだ。」
と、担任の先生が入ってくる。
なので僕達は各自の席に戻ったのだった。
そして一限、教壇にはクイントーヴァ先生が立っていた。
「今日は特別講師を呼んである!」
どうやらマリーの言っていた通りのようだ。
「入ってくれ。」
その言葉と共に入って来たのは翡翠色の髪を短くまとめた優しげな男性。
「彼はシュード=キングズトーン、第二外大陸調査団団長だ。」
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