第一章

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「さて…話を戻しましょう…月乃さんはどこまで陰陽師の事を知っておられますか?」 『えっと…』 「では、安倍晴明をご存知でしょうか?」 『あ!それなら分かります。いろんな本にも登場してますよね?』 「はい。安倍晴明はとても素晴らしい陰陽師でした。鬼や悪霊の退治…否、あの方は退治ではなく安らかに鎮めることを選んでいました…」 不思議だ…まるで本物の安倍晴明に会ったことがあるかのような話し方… 『なんか亘さんって長い間生きていて月姫様にも安倍晴明にも会ったような話し方をなさるんですね?』 冗談半分で笑って月乃がそう言うと… 「そうです…私は二人に会ったことがあるんです。」 『えっ?』 亘を見ると哀し気な表情をして車の外の景色を眺める。 『お、おかしいですよ…安倍晴明は千年以上前の人ですよ?』 「私は人間じゃないんですよ…」
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