第一章

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「待ってたよ?ここに座りなよ。」 青年は優しく笑うと手招きをした。 『貴方は…?』 そう問うが…先程と同様に聞こえてないのか… 「来てくれて嬉しいよ。 月姫ちゃん。」 まただ…月姫って… 『違うの!!私は月乃だよぉ!!』 「寒くない?温めてあげようか?」 にっこりと笑う。 そこで月乃は気付いた。 自分が喋ってるのではなく…これは誰かから通して見ていることだと。 おそらく月姫と呼ばれる人の記憶なんだと… 「えぇ~遠慮しないでよ~こうなったら…えいっ!」 月乃はギュウと抱き締められる。 『キャッ!!?』 「ほら。これで寒くないでしょ?」 『/////////』 月乃は真っ赤になる。 「もう~つれないな~ そんなに心配しなくてもここでは襲わないよ…」 お、襲う!? 「このまま…君が俺の腕の中に居てくれたらいいのに…君はまるで蝶だ…いろんな華に飛んで行って…留まることがない…」 悲しげに笑う。 あれ…まただ…切ない気持ちになる… 『私だって…貴方の腕の中に居たい…』 聞こえないと分かっていてもそう言わずにはいれなかった。 「あぁ…好きだよ。でも…君は違う…だから殺してあげるね?」 え… 『や、やめて!!苦しい!!』 青年は月乃の首を締め付ける。優しく笑いながら… 青年の姿はみるみる人間ではなくなり…尻尾と耳が生えていた。まるで…狼… そう思った時…青年はスゥと消える。 苦しみから解放された。 『はぁはぁ…はぁ…』 次に現れたのは綺麗な湖だった。
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