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「待ってたよ?ここに座りなよ。」
青年は優しく笑うと手招きをした。
『貴方は…?』
そう問うが…先程と同様に聞こえてないのか…
「来てくれて嬉しいよ。
月姫ちゃん。」
まただ…月姫って…
『違うの!!私は月乃だよぉ!!』
「寒くない?温めてあげようか?」
にっこりと笑う。
そこで月乃は気付いた。
自分が喋ってるのではなく…これは誰かから通して見ていることだと。
おそらく月姫と呼ばれる人の記憶なんだと…
「えぇ~遠慮しないでよ~こうなったら…えいっ!」
月乃はギュウと抱き締められる。
『キャッ!!?』
「ほら。これで寒くないでしょ?」
『/////////』
月乃は真っ赤になる。
「もう~つれないな~
そんなに心配しなくてもここでは襲わないよ…」
お、襲う!?
「このまま…君が俺の腕の中に居てくれたらいいのに…君はまるで蝶だ…いろんな華に飛んで行って…留まることがない…」
悲しげに笑う。
あれ…まただ…切ない気持ちになる…
『私だって…貴方の腕の中に居たい…』
聞こえないと分かっていてもそう言わずにはいれなかった。
「あぁ…好きだよ。でも…君は違う…だから殺してあげるね?」
え…
『や、やめて!!苦しい!!』
青年は月乃の首を締め付ける。優しく笑いながら…
青年の姿はみるみる人間ではなくなり…尻尾と耳が生えていた。まるで…狼…
そう思った時…青年はスゥと消える。
苦しみから解放された。
『はぁはぁ…はぁ…』
次に現れたのは綺麗な湖だった。
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