第一章

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「我が主…月姫様お待ちしておりました。」 後ろからいきなり声がする。 振り返ると紳士的な金髪の男がいた。 『貴方は…』 「おや?如何なさいましたか?私が居ることがそんなに不思議でしたか? はぁ…貴女様は私の主なのですよ?一緒に付いていくのは当たり前でしょう? だからお先にここで待っていました。」 不思議な人だなぁ… それにしても…月姫様って何者? 「確かに私は貴女様のことを主と認めています…」 なんだろう…また悲しく… 「しかし…貴女の事は嫌いです……」 そう言って悲しげに目を伏せて消える。 『あっ!?待って!!』 また場所が変わる。 今度は真っ白な雪が辺りを覆い尽くしている。 『あれ?なんで…桜?』 少し向こうに綺麗な桜の木が立っていた。 雪が降っているのに桜が綺麗にひらひら舞う。 『なんで?冬なのに…』 「あんたって…本当に凄いよね…」 『へ?』 振り向くと銀髪の少年がいた。しかも尻尾と耳がある。 『狐…?』 銀色で輝いていた。 雪と桜が凄く似合う不思議な少年…歳は月乃と変わらないぐらいだろうか… 「いつまで居る気? まさか僕が桜が好きって言ったから枯れない桜を咲かしたの? だったら馬鹿じゃないの?あんたって本当にむかつくよ…」 そう言って背を向けてゆっくり歩き出した。 『や…やだ!行かないで!!』 分からない。なんで自分がこんなことを言ってるのか…だけど…ただ少年に何処かに行って欲しくない… 『お願い。戻ってきてよ!!』 涙を流しその場に経垂れ込む。 そして景色が消え…また暗闇に吸い込まれる。
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