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「黒木くん、カンバス運ぶの手伝ってくれないかな?」
「あ、はい」
朋先輩に呼ばれて顔を上げる。
机の上には描きかけの下書きがたくさん。
どれも僕の描きたいものを表現できていない。
「はやくはやくー」
「はい」
急いで立ち上がり、先輩についていく。
「黒木くん、調子はどう?」
朋先輩は僕を見て言った。僕も先輩を見ようとすると、身長の差のせいで見下ろすかたちになってしまう。
「あんまりです。描きたいものが、描けません」
スランプ、というやつかもしれない。
高校に入ってからというもの、曖昧なアイデアしか出てこない。
「そっか。コンクールに間に合うといいね」
「……はい」
市が主催の春のコンクールが来月の末にある。
締め切りは遅くても来月の頭まで。
もう2ヶ月もないのに構想もまとまっていない。
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